ぼくは、60歳。盛岡のシニアの卓球クラブに入っていて、試合にも出るが、負けてばかりだ。
こういう時に、目に飛び込んできたのが、雑誌『卓球王国』上の「中国卓球留学!」という広告だった。以前、5年間中国に住んだことがあるぼくは、強く心をひかれた。もはや定年の身で、仕事の束縛はない。妻と小学2年生の息子から反対されたが、うまくなりたい、ハードな練習ができるのは今しかない、健康維持にも役に立つと考えて、1年間の「卓球留学」に申し込んだ。
08年2月20日夜、上海に着いた。ユーレックスと提携している琉華国際貿易上海有限公司の日本語のできる女性、孫さんが迎えに来てくれた。理工系の名門、上海交通大学は、徐家淮という新しい繁華街から歩いて10分のところにある。NHKのドラマ「上海タイフーン」に何度も登場した街だ。キャンパスは落ち着いた雰囲気で、緑も多い。宿は、交通大学の留学生寮の一人部屋で、本棚、タンス、エアコン、それにトイレやシャワーもそろっていた。LANケーブルも備わっている。留学生寮には、勉強もできる談話室、売店、卓球ルームがあった。キャンパスには、食堂、スーパー、コインランドリーなどがあり便利だ。
上海に着いて3日目、王国華コーチによる練習が始まった。場所は、交通大学のそばの復旦中学校の卓球練習場。地下に卓球台が10台置いてあった。王コーチは、68歳の男性。若いころは、ファンもいるほどの優秀な卓球選手だったが、「文革」中は卓球も禁止され、盛りの10年間をむだに過ごした。その後、コーチに転身し、世界チャンピオンの育成にも力を尽くした。
「中」に続く
石田稔・・・1947年盛岡生まれ。早稲田大学大学院中国文学科終了。中国の国語教師などを経て、40代で上海と湖南の大学に学ぶ。「文化大革命」を扱ったストーリー性の強い作品である『乱世少年』の翻訳を手がける。中国児童文学研究会会員
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