1年間の上海卓球留学 すさまじい多球練習(中) 石田 稔

1年間の上海卓球留学 すさまじい多球練習(中) 石田 稔

王コーチによる練習は、典型的な多球練習だった。大きな洗面器ふたつにボールが山盛りにされ、その向こうにはボールを受ける広い網が立ててある。
王コーチは、真ん中のネットの向こう側に立ち、ラケットでボールを打ってよこす(1分間に50個くらい)。ぼくは、フォアへ飛んでくるボールを続けて打っていくのだが、その過程で、フォーム、力の入れ方、グリップ、視点、ボールが台に着いたらすぐに打つことというような指示が与えられる。日本の考え方とは、だいぶ違うところがある。
やがて、日を追うごとに、フォアの1点が2点になり、全面の3点になり、バックでのプッシュ、それに続いての回りこんでのフォア打ちになった。
このバックでのフォア打ちに続いて、台の右端に速いボールが飛んで来る。足をクロスして大きく動かなければならない。さらには、素早くバックに戻って、以上の動作を繰り返す。
また、高くあがったボールを続けざまにスマッシュする練習もする。それぞれの要領については、王コーチがそのつど教えてくれる。
どれも洗面器一つ分のボール(230個ほどか)を、動きながら休むことなく打つよう要求される。王コーチは、ぼくの力がなくなってくると、片言の日本語で「ガンバル!ガンバル!」というのだが、最初のうちは、息が切れて、途中で何度も休んでしまった。休んでも構わないのだが、基本的には、自分の限界を少しずつでも突破し続けることを求められる。
「フットワークはボールの速さに勝る」というのが王コーチの口癖である。 
 
-週6日の練習生活-
体がくたくたになると、昼寝をしたり、近所のマッサージ屋に行ったりする。マッサージは、日本の6分の1の値段でとても上手だ。 
ぼくのような長期の「卓球留学」は、中国語の語学留学生として、半年もしくは1年間の学習ビザを取得しなければならない。これによって、交通大学の留学生寮などに住み、週に6日間(毎日最高で4時間)の訓練を受けられるようになる。
留学生は、韓国人、欧米人、日本人などで、総数1000人ほど。授業数は、週に9~15時間。中国語をも学びたい人にとっては魅力的だが、卓球の訓練をメインにしている者にとっては、重荷になる。しかし、全然出席しなくてもなんとかなるようだ。
このような長期の「卓球留学」をする者は、毎年1~2人。1人部の場合、年間の総費用は185万円(これは、訓練費、学費、寮費を含む。食費は含まれていない。2人部屋だと、30万円安くなる)。  (下)に続く

石田稔・・・1947年盛岡生まれ。早稲田大学大学院中国文学科終了。中国の国語教師などを経て、40代で上海と湖南の大学に学ぶ。「文化大革命」を扱ったストーリー性の強い作品である『乱世少年』の翻訳を手がける。中国児童文学研究会会員  







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