アメリカ、サンタローザ在住 フミ・クリステンセンさんより『第17回世界ベテランオークランド大会体験記』が届きました!

今回で17回目のベテランズ大会はニュージーランドで行われた。

隔年で開かれるので第1回目に最年少の40歳で参加した人は今年74歳ということになる。

私が住むアメリカでは卓球人口が少ないため、大会と呼ばれるものは年に数回しかなく、しかも年齢分けがないので腕に自信のない私はたいてい小中学生に軽く負かされ、「年には勝てない」などと弱音を吐いてしまうのが常だ。

そこへいくとちゃんと年齢別で試合が行われ、リーグ戦の後は負けても敗者復活戦に参加できるこのベテランズ大会は世界のあちこちで開催されるので旅行もできる楽しみもあるため気がついたら今回も参加してしまっていた。

対戦前後には嵩も張らず、お金もかからない小さな記念の贈り物を交換し合い、対戦相手全員での記念写真もとるのでわりと時間がかかってしまうが、誰も文句は言わない。

かといって気軽に構えていると「シャツの色は違反」と言われ、あわてて試合直前に買いに走ったこともあるし、ラバーの減りすぎが違反と言われ、誰かにラケットを借りていなければ不戦敗となる危機に陥ったこともあった。

言葉を交わしたことがなくても多くの日本人選手のなじみの顔との再会、ホテルでの出来事、試合後の小旅行、そのどれをとっても心躍るものであった。

 

<空港での悪夢>

だがそれらの感動の前にこの大会での私にはつらい試練が待っていた。

着いた早々、あと10mほどで空港の出口のところで検査官に止められたのだ。

今まで何度か日本やアメリカの空港で検査官に止められ、別室に連れて行かれ、バッグの中身をすべて見せなければならないことは経験しているのでまたか、と思った。怪しげな薬物などの密上陸を防ぐためには仕方あるまい。

その検査官は私のバッグから腐りかけた1本のバナナを見つけ出し、これは申告していないね、と言った。それもよくある。

そういえば何年か前に日本で狂牛病が騒がれた時期に日本で購入したビーフのレトロカレーを3つほどバッグに入れていたのをサンフランシスコ空港ですばやく見つけられ、没収されたことがあった。

このバナナは、家を出るときに、おなかがすいたときのために3本持ってきたうちの1本だ。飛行機に乗る前に2本食べ、後1本残っていたのを忘れてはいなかったが、飛行機の中で渡された申告書に植物は持っていないということころに印をし、バナナはそのままにした。日本でもアメリカでも空港を出るときにハンドバッグの中のミカンやりんごは必ず、といっていいほどチェックされないので今回も大丈夫だろう。

すると別の検査官がこっちに来いという。バナナ1本没収されたあと、ほかに私に何の用があるというのだ?

そこでこれを読め、と1枚の紙を渡された。

そこには信じられないことが書かれていた。

400ドルの罰金を支払えと言うのだ。

すぐにクレジットカードなどで払うか、それができなかったら14日以内に支払うことと、ほかにも方法があったと思うが、払わないで済む方法はなかった。

それでも私は何とか払わないですむ方法がないか、とその検査官に「知らなかった」、と泣き顔で同情を誘ったが効き目がなかったので、次は「こんなひどい決まりは聞いたことがない、」とか「絶対にこんな国に来ないからね」と脅し作戦を実行したが、これもうまくいかず、代わりに「1日1万人ほどここに来てあなたと同じようなケースが10人くらいあるよ」と聞いてもいないのに慰めとも戒めとも決めかねる言葉が返ってきた。

安いホテルと安いバス代に生きがいさえ感じていた私にとって400ドルのバナナは悪夢以外の何物でもなかった。

人生うまくいかない時があるかないか、ではなく、その時にそれとどう向き合うかが大事なことだ、とものの本に書いてあったような気がするが、それからしばらくは、何もバナナが悪いわけではないのにバナナと向き合うたびにむかついてしまい、バナナとの関係改善にえらく暇がかかってしまった。

後で調べたらニュージーランドは原生動植物保護のために港や郵便局と並んで空港での検疫に大きく政府の予算を組み、外来種の入国を防ぐため、チェックが最も厳しい国、と書かれてあった。

 

<オークランドの町>

首都ではないが最大の都市オークランドに試合会場はあった。何でも人口400万人の4分の1の人たちがここに住んでいるらしい。

ここでは他の果物に混じってたいそう美味の冬柿と日本のものと同じミカンが売られていた。

5月は日本では春だがここは秋なのだ。

ひとつ驚いたのは、寿司がいたるところで売られていたことであった。

日本レストランの数は10件くらいで平均的という感じだったが、ファーストフード風寿司屋は雨後の筍のようにそこらじゅうにあり、それも太巻き寿司が主流ですでに切って中の具がよく見える状態で、ひとつ100円前後で店頭に並んでいた。タバコを箱単位ではなく本数で買うのに似た感じがしたが、いろんな種類の具がそろえられているので買いやすい。

最近の人気はチキンだと日本人の店員さんは言っていた。

何でも地元の人に健康食として人気が高いらしく、ランチ時にはどこの寿司屋もにぎわっていた。

100人以上収容できそうな数のテーブルを取り囲みようにアジア系のファーストフードが20件ほど並ぶ「フードマート」でも寿司は人気があり、そこでは中華料理屋と韓国料理の店先でも寿司が売られていた。

滞在中、キッチン付のホテルではせっかくだからとニュージーランド産の羊肉は一度だけルームメートと一緒に料理(私は後片付け役)した以外はほとんど太巻き寿司を食べたような気がする。朝食には豊富な果物とおいしいペイストリーやサンドイッチと、低コストで大変充実した食事内容であった。

 

 

 

 

 

<うれしい番狂わせ>

いつも通り4人でのリーグ戦だ。

上位2人がチャンピオン戦に臨み、下位2人が敗者復活戦に臨む。

私はたいてい負けのほうが多いので敗者復活戦に行くが、今回は前回に続いて2勝1敗でチャンピオン戦に臨むことになった。

前回は私のラバーがあまりにも擦り切れていたためチャンピオン戦では使用できなくなり、やむなく人に借りて試合に臨んだという苦い経験があるので今回は擦り切れのないように注意したつもりだ。それなのにまた試合進行係の人は私のラバーの可否を尋ねに事務局まで持っていってしまった。

ラバーが磨り減りすぎてITTFの文字が見えなかったためらしい。結局は使えたのでよかったが、ダブルスの日に試合進行係が変わるとまたラバーが問題になったので、次の試合の前には自らオフィスに赴き、「何度もラバーの確認されて時間が無駄だからこのラバーは大丈夫というサインがほしい」というとそんなものはないが何かあったらいつでもテーブルにいってOKだと言ってあげる、というのでそうすることにした。

知り合いにラバーを見せると、裏ラバーでこのように中の粒粒が見えたら変えたほうがいいし、1部剥がれているのもよくない、と言う。

確かに1年以上使っているが、今のところ支障はないので違反でないならそれでいいではないかと私は思った。

チャンピオン戦では1勝もしたことがないので目標は1勝であったが、あろうことか、続けて3勝もし、あと1回勝てば準決勝というところまでいってしまった。

あとで日本人対戦者から「あなたのラバーは本当はアンチではないか」と疑われ、3勝目の日本人対戦者からも「こんなラバーは古すぎて違反だ」とまで言われてしまった。

つまり勝因はこの古いラバーにあったのだ。

だったら2年後のスペインでの大会にもこのようなラバーを使おうではないか。

帰ったら新しいラバーに変え、その同じラバーで2年後のスペイン開催の大会に臨むことにしよう。

 

 

<大会の有名人>

オーストラリア代表のドロシーさんはこの大会に毎回参加されているが、あまり勝つことはないらしい。でも地元のメディアは彼女を必ず追いかける。

なぜなら彼女はこの大会の最年長者だからだ。

中国で行われた2010年の同大会のころを中心に英国人による「Ping Pong」というドキュメント映画が作られ、そこに登場する8人の80歳以上の選手の一人で、その時は99歳だったので今年は103歳ということになる。

その映画に出演する8人の年齢を合わせると703歳と堂々たるもので、2013年にニュージーランドの30ほどの映画館で上映されたこの映画は卓球に興味ない人の心琴線にも触れる人気のある映画であったらしい。機会があればぜひ見てみたいと思う。

予告編をネットで見ると、中国人らしい人から「そんな高齢でなぜまだ卓球をするんですか?」と聞き様によっては失礼な質問を受けていたが、一枚上手の彼女はそれをさらりとかわしていた。

「わたしゃまだそんなに年じゃないよ」。

この映画の魅力がこの言葉にあるような気もした。

今大会もドロシーさんをあちこちで見かけたが、いつもカメラとマイクの人が後から金魚の糞のようについて回っていた。私も記念に1枚取らせていただいた。

どうやら映画はまだ続くようだ。

と思っていたらドロシーさんは今年の1月に亡くなられた、というではないか!?

会場にいたのはドロシーさんとばっかり思っていたので、すぐに今回の開催事務局にメールでこの写真の人は誰か、と問い合わせたらすぐ返事が来て彼女はドイツ代表で93歳のインゲブリジットへルマンさんで、今回の最年長者、と教えてくれた。

車椅子も使わず、ユニフォームがオーストラリアでなかったのが気になったとは言え、あれだけのメディアの注目を集めることができるのはドロシーさん以外にないと信じて疑わなかったのだが、彼女だっていつかは死という不条理な行事を迎えるのだ。

だけど103歳まで彼女のように死ぬまでベテランズ大会に参加できたら、人生の締めくくりとして文句のある人はいないだろう。

私だってたとえ400ドルのバナナを買わされてもおおらかな気持ちになるに違いない。

今回の大会にもすでに予約を済ませてあったらしく、実際のところは「せめて死ぬ前にニュージーランドの大会に参加したかったよ」くらいのことを彼女は考えていたのではないかと私は思う。

たとえ103歳でも、普通の生活を営める人が死に見舞われる時はたいてい生活の途中だろうから少しは残念だったろうと思う。

ところで95歳でなくなられた作家の住井すえさんのインタビューを何年か前にテレビで見たことがある。「貴方にとって死とはなんですか?」という質問に彼女はためらいなく「時間切れです」と答えていたのを今でもはっきりと思い出す。私はそのときその答えにひれ伏したい気持ちになった。

なんて潔くてエネルギッシュな言葉だろう。

それ以来気持ちが落ち込んだときにその言葉を記憶の箪笥から引っ張り出して眺めなおし、活性剤として利用している。今でも私の最も好きな言葉だ。

その「時間切れ」の時に住井すえさんほどの潔さにはかけるが、「もうちょっと生きたかったけど、ま、いいか。」くらいの気持ちになれることが私の理想である。

 

 

ところでいったいこの大会で勝つのは簡単なのかどうか。

高齢者ばかりなので勝てそうに思うかもしれないが、なんのなんの。年齢で分けられているため勝ち残るのは並大抵ではなく、年齢が低くなり、50歳代、40歳代などになるとプロも真っ青になる選手が入り混じるからだ。

ワルドナーの黄金時代に同じくチームメイトとして勝利に貢献したピーターカールソンが今回初参加しており、誰もが認める優勝候補であったが、準決勝で中国選手に負けてしまった。

アップルグレンも何度かこの大会で優勝を逃したことがあるし、過去に世界選手権で名を馳せたことのある選手も勝つのに苦労している。

そんな強い選手と組み合わせによっては最近はじめた初心者のような選手でも対戦できるのがこの大会の大きな魅力でもある。

今年の男性優勝者には中国人が目立ち、女性は日本人が多かった。

 

 

<テニス肘の治し方>

さて、年を重ねるにつれてからだのあちこちに故障がおき、特によく使う肘を痛める人は多いと思う。

私も例に漏れず、テニス肘に苦労した口であるが、ある治療法で簡単に治ることがわかった。

それはミツバチの毒である。

5年ほど前に私はリウマチを患い、治療法を必死に探した結果この蜂毒にたどり着き、完治させることができたことを打ち明けよう。

それ以来蜂毒に関する本を読み進むにつれて、他の炎症系疾患とともにテニス肘にも大いに効果が見られることがわかった。

次にテニス肘にかかったとき、早速試すと、何もしなければ直るまで2~3ヶ月かかるはずの症状が1週間ほどで痛みがすっかりとれてしまった。

先日福原愛選手が痛み止めを服用しながらオリンピックに臨み、今回の世界選手権は疲労骨折のため欠場を決めたというニュースを聞き、彼女にはぜひこの蜂毒を試してもらいたいと思っている。

骨粗しょう症など強い副作用を伴う痛み止めは痛みを完全に取り除きはしないが、副作用がまったくない蜂毒は炎症を完治させてしまう上に健康増進という大きな副賞まで与えてくれるので炎症に悩む人にはぜひ試していただきたい。

英国王室のケイトミドルトンも使用している、と有名になったあの蜂毒クリームと同じ原料である。

興味のある人はネットで「日本アピセラピー協会」を検索し、最寄の蜂毒療法所をお問い合わせください。

 

 

<試合後の小旅行>

試合終了後、オークランドからバスで4時間ほどのロトルアという観光地に2日間をかけて足を伸ばした。

ホテルから市バスで20分ほどのところにマオリ族文化紹介観光地があり、マオリ族の民族ダンスが見られて土の中に入れて地熱で食べ物を加熱するという伝統的料理方法によるランチも味わうこともでき、おまけに敷地内に住む国鳥のキウイとも対面することができ、大いに満足した。

そこにはしょっちゅう温泉が噴出す間欠泉があり、泥温泉があり、沸騰した温泉があった。

温泉卵こそ売られていなかったが、噴出す温泉と硫黄のにおいは別府を思い出させる。

あまり長い休暇を取れない人にはコンパクトに観光を満喫できるここロトルアがお勧めだ。

次の開催地はスペインらしいので次回も参加できるように体力と経済力の調整に励みたい。



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